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オペラント条件付けに応用されているしつけ行動
オペラント条件付けとは、行動に対する報酬や罰を用いて、その行動の頻度を変える学習の一種です。具体的には、ある行動が強化(報酬)されることでその行動が増加し、罰(嫌悪刺激)によってその行動が減少します。
選択肢の分析
ア: 子供が望ましい行動をとったとき,ご褒美を与えたり,褒め言葉をかけたりする。
- 正しい: これはオペラント条件付けの「正の強化」にあたります。望ましい行動が行われた際にご褒美や褒め言葉を与えることで、その行動が増加します。たとえば、子供が宿題を終わらせたらおやつをあげることが該当します 。
イ: 他の子供が望ましい行動をするのを見せる。
- 誤り: これは「モデリング」や「観察学習」に該当します。アルバート・バンデューラの理論に基づくもので、他者の行動を観察して学習する方法です 。
ウ: 苦手なものを徐々に近づけ,触れさせるなどして,不安や恐怖を和らげる。
- 誤り: これは「系統的脱感作」または「エクスポージャー療法」と呼ばれるもので、不安や恐怖を軽減するための行動療法です。オペラント条件付けとは異なります 。
エ: 納得できる理由を言葉で説明し,十分に理解させて,行動変容を促す。
- 誤り: これは「認知行動療法」や「説明と説得」の手法に近く、行動の背景にある考え方や感情を変えることで行動を変容させる方法です。オペラント条件付けとは異なります 。
結論
オペラント条件付けが応用されているしつけ行動は、選択肢アです。子供が望ましい行動をとったときにご褒美を与えたり褒め言葉をかけることで、その行動の頻度を増やす方法がオペラント条件付けの典型的な例です。
オペラント条件付けの詳細解説
オペラント条件付けは、行動の結果によってその行動の頻度が変わる学習の一種で、B.F.スキナー(B.F. Skinner)が提唱した理論です。この理論は、行動が環境との相互作用によって強化(増加)されたり、減少したりする仕組みを説明します。スキナーはこの過程を理解するために、スキナー箱という装置を用いて動物実験を行いました。
基本概念
- 強化(Reinforcement):
- 正の強化(Positive Reinforcement): 望ましい行動に対して報酬を与えることで、その行動の頻度を増加させる。例:子供が宿題を終えた後におやつを与える。
- 負の強化(Negative Reinforcement): 望ましい行動に対して嫌な刺激を取り除くことで、その行動の頻度を増加させる。例:子供が部屋を片付けた後に、追加の家事を免除する。
- 罰(Punishment):
- 正の罰(Positive Punishment): 望ましくない行動に対して嫌な刺激を与えることで、その行動の頻度を減少させる。例:子供がいたずらをした際に叱る。
- 負の罰(Negative Punishment): 望ましくない行動に対して好ましい刺激を取り除くことで、その行動の頻度を減少させる。例:子供がルールを破った際に、お気に入りのおもちゃを取り上げる。
- 消去(Extinction):
- 強化が与えられなくなることで、行動の頻度が徐々に減少していく過程。例:子供が騒ぐたびに無視することで、騒ぐ行動が減る。
スケジュール
オペラント条件付けでは、強化や罰のタイミングや頻度が行動の学習に大きく影響します。以下は主な強化スケジュールです:
- 連続強化(Continuous Reinforcement):
- 望ましい行動が行われるたびに強化を与える。初期学習に有効だが、消去が起こりやすい。
- 部分強化(Partial Reinforcement):
- 行動が毎回ではなく、一定のパターンで強化される。これには固定比率、変動比率、固定間隔、変動間隔のスケジュールがあります。部分強化は消去に強い行動を形成するのに有効です。
実験と応用
スキナー箱の実験: スキナーは、レバーを押すと餌が出てくる装置(スキナー箱)を使って、ネズミの行動を観察しました。ネズミが偶然レバーを押して餌を得ると、その行動が強化され、レバーを押す頻度が増加しました。この実験は、行動が結果によって変わることを示しています。
応用例:
- 教育: 正の強化(例:褒め言葉やシール)を用いて子供の学習行動を促進します。
- 職場: ボーナスや昇進を与えることで、望ましい仕事の成果を増加させます。
- 動物訓練: ご褒美(例:おやつ)を用いて動物にトリックを教えます。